2017年3月8日水曜日

36の物語


36。去年、新規開拓したお店の数。未知との遭遇の数。店の数だけ思いがある。その思いに触れた数。おいしかったお店、また行きたいお店。二度と行かないであろうお店、色々ある。
なくなってしまったお店、ひとつ。

男らしさも女らしさも大事だとコート・ドールの斉須政雄さんが『厨房という戦場』で飲食向きの人間について書いていた。

確かにそんな気がする。押しすぎず、引きすぎず。強すぎず、弱すぎず。主張せず、しなさすぎず。待たず、待ちすぎず。力だけでも頭だけでもなく。
中途半端といいあんばいの境目は複雑きわまりないが、しかし確かに存在する。

強さをただ出せばよいわけではなく、やわらかさで包む必要がある。柔らかいだけなら多分やる必要性がない。
ドアを開けた人を等しく歓待するようなるだけ努める。なるだけ。できない、ことがままある。なんだそれ、が顔に出てしまうのを必死に押さえる練習も時に必要だ。ひとりのときは余計に。厨房に逃げられないのだから。
ずっと、なんだそれ、をなんだそれ、としてしか扱ってこなかったぼくには多分、特に。


修道士「僕たちは他人の人生をとやかく批判してはならない。人はそれぞれ自分の痛み、自分の諦めしか知らないからだ。自分が正しい道を歩いていると感じるのと、自分の道が唯一の道だと考えるのはまったく別のことなのだ。」
『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』パウロ・コエーリョ

0 件のコメント:

コメントを投稿