2012年7月19日木曜日

カヌーと僕との半ばありきたりかもしれないお話3~16歳のビジョンクエスト~

今日も、Zero Day。体調はだいぶ良くなった。

七月に二連休なんて、最高のチャンスを生かせず悔しいけれど、まあそんなこともあるさ、と自分を慰め、最近盛り上がっている自己満カヌーシリーズ、始まるよ。
カヌーシリーズなのに、今日はカヌーまでたどり着けないかもしれないという奇跡。

1、【てやんday「カヌーと僕との半ばありきたりかもしれないお話1」
2、【カヌーと僕との半ばありきたりかもしれないお話2~漕ぎはじめ~



我が家の売れたい芸人β】(どちらも知る仲間たちによると、似てなくもないらしい)に、




沖縄出身アーティスト「MONGOL800」を激押しされ、単純な僕はアルバム、「MESSAGE」のドストレートなMESSAGEにドカンとやられた。

モンパチが爆発的に流行った時期を、実は僕は知らない。僕は流行に左右されないのだともすけ(しつこい)。




スナフキンも野田さんもハーモニカ。だから(?)、僕は横笛の練習をしている。

モンパチをキッカケに、沖縄病を発症した僕は、下川裕治さんなどなど、沖縄に関するあらゆる本をむさぼるように読み漁った。
モンパチを育んだ“沖縄”に近づきたかった、体感したかった。


冬の修学旅行先は沖縄。少し待てば憧れの国に行けることは分かっていた。
が、大好きな沖縄に、「修学旅行で初めて行った」なんて、そんなことは到底許せなかった。恥ずかしくて顔向けできないではないか、と。


沖縄への僕の愛は、そんなものじゃない。


くだらないこだわりである。でも、そんなんが何より大切だったりする。


うん、行こう。リスペクトを示すためにも、修学旅行前に行ったろう。
どうせ行くなら、島だろう、と。
南の島、青い海、白い砂浜、カラフルな魚たち、最南端、最西端、ソーキソバ、フェリー、離島、ゲストハウス‥、どれもこれも甘美な響きである。


高二の夏。16歳。
吉野家で貯まったアルバイト代で、僕は、沖縄・八重山諸島へ向かった。


「何があっても生きて帰ってくるのよ!」と、感激屋の母は羽田空港で大げさに泣いた。
涙もろい僕もつられて泣きそうだった。
‥やはり気ちがい家族。あほみたいな光景である。


ついについに、憧れの一人旅である。何度も夢見た、バックパッカーである。大人の階段のぼる~♪、である。


神田の石井スポーツで、セール品のミレーの赤いバックパックを買った。





周りでは進路の話が出てきていた。僕もあれこれ迷っていた。

とりあえず、初めての飛行機に乗った。

那覇空港、既に空気が異国だった。

バスを乗り継いで港を目指す。複雑な路線、何度も乗り遅れる。
本で書いてあったとおり、みんな顔が濃い。本当だったんだ。僕だけ余所者だ。疎外感。寂しくなってきた。近くの優しそうなおばちゃんに声を掛けた。

一緒に、目的地へ向かうバスを探してくれた。

港へつき、今度はフェリーでのんびり石垣島を目指す。

フェリー内で、これまた本の中でしか見たことのない、カッコ良い大人に旅の心得を教わった。
岩手出身のバイク乗りは中田英寿似でスタイリッシュな旅人だった。



おにーさん「若いバックパッカー(僕「!!!」)珍しいなーって思ってたんだ。
仕事?いやー、ガマンできなくって来ちゃった。職場に連絡しなきゃなー(笑)
このフェリー内でも、ヘンな人(いい意味でね)ばっかりだから、いろいろ話しかけてみな?面白い話がいっぱい聞けるよ。」
おにーさんは、北から南へ季節に合わせて移動する「ワタリ」というバイク集団のことや、岩手の世界一の星空のこと、アジアでの旅話など、いろんな話をしてくれた。僕は、夢中になって頷いた。

最後に、おにーさんは恐ろしい予言をした。
「そんな若いうちからこんな楽しい世界を知っちゃったら、もう抜け出せないよ。これから大変だぞー。笑」と。

連絡先も名前も分からない、このおにーさんが、僕の旅の師です。現実世界で初めて出会ったカッコ良い大人代表。

‥なかなか、カヌーにたどり着けないなあ。

そんなこんなで、とりあえず八重山諸島一のビッグシティ(来るまで知らなかった事実)石垣島に到着。
ドキドキのゲストハウス生活。


日本各地から来ている今の僕ぐらいのおにーさん、おねーさんたちが、皆とても眩しかった。

話をしたいのに、どうしたら良いのか、コミュニケーションの取り方が全く分からなかった。
僕の武器は、ただひとつ。最年少であることだけだった。

一般的16歳にしては、しょぼすぎる社交性。どうしようもない不器用な未熟者にも、皆、優しかった。

とにかく、いろんな人がいた。
いろいろ、悩みや葛藤はそれぞれに抱えていたのだろうけれど、共通して、みんな、最高の笑顔だった。
キラキラして見えたのは、照りつける太陽の強さだけではなかったはずだ。


ホームシックな夜、彼女に電話をしようと外に出ると、でかすぎるゴキブリが、当たり前のように道端にごろごろ転がっていた。



「あのさー、沖縄は、ゴキブリがでかいんだよ!ありんこみたいに道にフツーにいるんだ。‥本当だって!」



宿の主が、肝心なところでリサーチ不足な僕に、島巡りをしたらいいと、いろいろと提案をしてくれた。


「ちゅらさん」の竹富島では、シュノーケリング後、いっちょまえにオリオンビールを呑んでふらつきながらシャワーから出たら、目の前がグルグル回りだした。僕はお酒に弱かったらしい。
大げさな母に倣い、僕は密かに死を覚悟しながら一晩悶えた。



鳩間島

人より牛のが多い黒島ではお祭りを見て、巨大魚と泳いだ。


そうして、日本最南端波照間(はてるま)で、ようやくカヌー話へとつながっていく。

続く。

2 件のコメント:

  1. >しばけん
    読んでくれて&コメントありがとう。

    自己満街道まっしぐらの唐突回想シリーズ、楽しみにしてもらえるなんて、めちゃくちゃ嬉しいもんで。
    面白ネタを適度に出し惜しみしつつ(やらしいね。笑)、余裕あるときに、書いていくぜー。

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