2016年4月11日月曜日

【追悼】出せない手紙 Dear Megumi


天国の郵便番号は何番だろう。どうやって送れば届くのか。

春。会いたい人が、会えない人になった。
その人は、ぼくの文章を誉め続け、行ったことのないジュネーブに、ぼくの言葉を呼んでくれた。

一度も会わないうちに、彼女はいなくなった。
春休みが終わったら会いに行くんだ。一目会って抱きしめたら、きっとぼくは彼女の顔を見ることができなくなるんだろう。

春休みが終わるより先、その人の命が終わってしまった。

何回か文通をして、何回か素敵なおひねりをもらって、この前はバレンタインのチョコをもらって。お返しをしたいから、ちゃんと日本に帰ってきてくださいと伝えたら、いちいち素敵なんだからと喜んでくれて。
それから、そのまま、いなくなってしまった。

一度も会ったことのない人がいなくなったら、普通、悲しくないものかな。いなくなったことすら知らされないか。
ぼくは悲しい。一度も会えていないから、よけいに悲しい。
彼女はどんな声をしていて、どんなしゃべり方をして、どんな顔をして笑うのか、確かめようがなくなってしまった。大好きな千歳川や支笏湖を見せたかったけれど、キセキは起きなかった。


冬を越すまで悩んでばかりだったぼくに彼女がくれたいくつもの言葉。
理由や理屈でなく、『いきつくところは愛だと思う』。
『愛しきれなかった、それだけ』。
だって、『「あなたは素晴らしい」のよ。』と、いつもぼくが新聞に書いている言葉をそっくりそのまま返してくれた。
ぼくの言葉を、いちばん必要としていたのは誰でもないぼく自身であったことにそのとき初めて気がついた。

何の縁かな、あいたいのにあえずじまい。
おかげで、死んでからの楽しみが増えました。

素晴らしい人とつなげてくれた【まちゅ★ぴちゅ】にも、感謝。

SP thanks Megumi.F

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