2013年1月10日木曜日

『深夜特急 香港・マカオ』沢木耕太郎×奥入瀬(青森)

★『深夜特急 香港・マカオ』沢木耕太郎。新潮文庫。H6年3月25日。238P。




北海道のちょい悪カヌー乗りさんから、『深夜特急1.2.3.4.6』をもらった。ありがとうございます!


なぜか五巻はないらしく、「楽しかったら5巻は自分で買いな」と。

かつてのバイブル本といっても今は、「かつて」ではないし、どうかな?という予想に反して一気に読了して思ったことは、北東北、青森は十和田で感じたことと不思議に一致した。

景勝地「奥入瀬」。
十和田湖を漕ぐことは楽しみだったけれど、紅葉の名所なんて、僕は「THE観光地」なんて、好みではない。


(十和田湖に現れたマタギカヌー馬鹿は、今日アメリカへ向かったようだ。)

‥が、奥入瀬は良かった。ひねくれようにも、実に良いのだから、ひねくれようがなかった。
奥入瀬は陽。非の打ちどころがない。いい人。実にいい人。本当にいい人。

一、二年前ならきっと、優等生タイプの奥入瀬を良いとは思わなかった気がする。思っても認めなかったと思う。

そういう「THE」という固定観念に縛られずに、みんながいいというものでも、心からいいと自分が思ったならばいいと言いきることができる年になったわけだ。

捉え方ひとつ。何でもないことのようで、粋がりたがりの僕の中ではかなり大きな変化です。
以前よりずっと「自由」になってきている確かな手ごたえ。にたつくしかないぜ。



木のことは残念ながらさっぱり分からないのだが、見えないものを感じる第六巻、いやいや、足りないのは六巻ではなく深夜特急5巻。

‥第六感だっての。

僕の第六感が、十和田の森に喜んでいた。



(十和田湖神社。寂しい温泉街の雰囲気もここだけは崇高な空気)

また行きたいと思える場所に、

また会いたいと思える人に、


(ノースビレッジ隣のガソリンスタンドのおじさん)

、また読みたいと思える書物に、

生きているうちにどれだけ出会えるだろう。


良いから、国立公園なのだ、良いから「THE観光地」として存在し続けているのだ。


現地は現地で冬場は観光客が減るとか寒いところならではの問題はつきまとうようだけれど、
趣深い温泉も近くにあり、歩いて気持ち良く、あれこれコンパクトに綺麗にまとまっていている。

昔から、いいと言われてきているものには、それ相応の魅力があることを学んだ25歳の冬であります。


★ずきゅんわーず★

・人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実をきわめることもなく、記録を作るためのものでもなく、血湧き肉躍る冒険大活劇でもなく、まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ。(p.25)

・私は歩き、眺め、話し、笑い、食べ、呑んだ。どこへ行っても、誰かがいて、何かがあった。(93)

・―貧困は僕にとって必ずしも忌むべきものではなかった。なぜなら、太陽と海とは決して金では買えなかったから。
ヘミングウェイの読者だったにちがいないアルベール・カミュも、確かそのようなことを言っていたと思う。(97)

・自分が情けないほどみじめに思えてくる。情けないのはおごってもらったことではなく、一瞬でも彼を疑ってしまったことである。少なくとも、王侯の気分を持っているのは、何がしかのドルを持っている私ではなく、無一文のはずの彼だったことは確かだった。(101)

・言葉をひとつ覚えるだけで、乗物にひとつ乗れるようになるだけで、これほど自由になれるとは思ってもいなかった。(110)

・恐らく、私は、小さな仮りの戦場の中に身を委ねることで、危険が放射する光を浴び、自分の背丈がどれほどのものか確認してみたかったのだと思う。(171、マカオ)





3 件のコメント:

  1. まず、私は「ちょい悪」ではありません。「極悪」です(笑)
    これまたベタですが、極悪が繰り返し読むのは「星野道夫」です。
    キャンプで焚き火をして呑みながら読むには最強です。(断言)
    特に、「長い旅の途上」(文春文庫)
    例えば、
    P138 アラスカに暮らし始めてから、十八度目の冬が過ぎようとしている。多くの選択があったはずなのに、どうして自分は今ここにいるのか。たった一度の人生を、なぜAではなく、Bの道を歩いているのか。誰しも、そんなことを考えずに日々を生きているのに、ふとした一瞬、その不思議さに想いを馳せることはないだろうか。
    「旅をする木」のP163にも同じような一文があります。

    心揺さぶる文章、既に読まれていると思いますが是非再読を

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  2. >ちょい悪改め、極悪hippoさん
    コメントありがとうございます!

    星野道夫さんも僕はスルーしているんですよね。さすがに逃げ切れないとは思いつつも、タイミングが噛み合わず、縁がないようで。

    そうですか、…そろそろ読んでみるかな。

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  3. おはようございます。
    そうです、今がタイミングです。

    まず、繰り返し読み返せるお薦めの5冊(第2段)

    1 ジョン クラカワー(佐宗鈴夫 訳) 集英社文庫
      荒野へ (into the wild)
      DVD も観てね
    2 星野道夫 旅をする気木 文春文庫
    3 星野道夫 長い旅の途上 文春文庫
    4 星野道夫 イニュニック〔生命〕 新潮文庫
    5 星野道夫 ノーザンライツ 新潮文庫

    繰り返し読めるので、自分で買ってねぇ~
    アマゾンでポチすれば、すぐ買えるよぉ~
    アンベチックな感想を楽しみにしています。

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