2013年11月11日月曜日

「夜の町、白い冬」


SP thanks photo by 【Native】工藤氏。
早朝の屈斜路湖畔にて。寒いのであったかそうな写真で暖をとってもらえれば是幸い。


夜の町に初めての雪が降った。

寒いなあ。お散歩がてら、夕飯の買い出し。
これから訪れる冬の足音に耳をすますのもいいじゃない。

思えば、いつもこの季節は、忙しなく動き回っていて、心ここにあらず。いるけれどいない、いるけれどアテにもされ(たくも)ない、半透明人間。
そわそわと未知なる世界の誘惑に気を取られ焦っていた。それが、ぼくの11月。
軸足は左なのか右なのか。
ワガママなぼくはどちらも捨て去ることができなくて、中途半端が一番失礼なことだのに。


思えば、思えば、晩秋の夕暮れの儚い美しさに気付くことなんてなかった。
びゅっと強い風が走った後に舞い散る枯葉は、昨夜の雪と非常によく似ている気がした。世界は完全なる調和に包まれて、一瞬間息を呑む。
しゃぼん玉を吹きながら白い冬役の枯葉ををつかまえようと試みた、ベンベ沼でのやさしい時間。あれは夢か現か幻か。
水の上にたまった落ち葉たちが、「春から秋、目いっぱい俺らは【生命】を全うしたぜ。お前はどうだ?思いっきり生きているか?」とぼくを挑発する。生かされるだけで十分だったいつかの投げやりな世間知らずは、相変わらず世間知らずではあるけれど、生きることに喜びを見出せるようにまでなっていた。
朝日が夕日色だってこと、知らなかった。
15時半までにカヌーを漕ぐのは終えた方がいいことも。
千歳川が好きになった。いや、好きだったことに気が付いた。
気が付いたというか、思い出した。思い出させてくれるナニモノかに出会ったことに感謝。ぼくはこれから、見つけるのでなく、ありとあらゆる【生命】を思い出していくだけになる。
ぼくが生まれてからの記憶。ぼくが生まれる前の記憶。君のすべてと、あなたの記憶。それらを統合して形にして、思い出してもらうんだ。

「懐かしい」は、『新しい』だったんだ。

カヌーとコーヒーと、きれいな水に。君とぼく。


この地球の上に在る、恐ろしく美しい、生きとし生けるすべてのものが、ぼくはたまらなく好きなのだ。

ねえ、冬が来るよ。

死なない程度に、ここでちゃんと生きていきたいと思うから、何かのときにはほんの、三ミリで構わないから気にしてやってもらえると嬉しいです。








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