電車を乗り間違えたり、おねーさんたちに笑われたりしながらどうにか目的駅にたどり着いたら日付は今日になっていた。
そこから閉店三時まで、ご多忙のはまだくんと居酒屋で呑んだ。
この頃まわりから「大人になった」「落ち着いた」とか言われることが増えた。
が、しかし、やはりぼくは、少なくとも昨夜のぼくは、尖っていた。いやはや、参った。
非常に人間臭かったように思う。
『他の人とどんな付き合いをしてんだかは知らないしそれは何でもいいけど、オレと中途半端に付き合うんなら、やめてくれ。そんなんいらない。適当に付き合うならない方がマシだわ。』
明け方の野郎二人の会話の断片。恋人か。重たすぎる。
ぼくは馬鹿だ。でも二十四時間年中無休で誠実ではあるつもりでいる。
好きだから期待をする。期待をするから裏切られる。裏切られてもやっぱり期待をするのは好きだから。
好きな人はいつまでも好きなのだ。
寝袋にくるまって目覚めたら7時。慌ただしい朝。職場へ自転車で向かうはまだくんと別れ、ぼくは通勤ラッシュを数分味わいゆらゆらと新宿へ戻った。
美人と都会は三日で飽きる。
ぼくは電車よりカヌーに乗りたい。
慣れ親しんだ駅のホームが妙によそよそしいのは何だろう。
ここはぼくのホームじゃないって言いたいんだろ。
一寝入りしてから、91歳のじーちゃんに会いに行った。
今夏、貪るように戦闘機の本を読み漁った。
以来、直接パイロットの話を聞きたかった。
が、元隼のモテモテパイロットは、しばらく会わない間にずいぶんと弱っていた。
なあ、エロじーちゃん。今日はお風呂に入ったから眠いんだね。また来るからさ、そのときは隼の話を聞かせてよ。
あの戦争は何だったのかな。
ぼくは戦闘機じゃないけど同じく空飛ぶカヌーを漕いでいるんだよ。
約束したんだ。
ねえ、じーちゃん。乗ったことのない隼の話を聞かせてよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿