休み!
意外と普通な時間に目覚めた。
先人が残した香川ガイドブックをパラリと見やる。
あ、これだ。僕が欲しいのは、寺でも神社でもなく、アートだ。
観音寺駅まで自転車を20〜30分走らせたなら、電車で丸亀駅を目指す。途中多度津で乗り換えて¥540。
狙いを定めた、「猪熊弦一郎現代美術館」は、丸亀駅南口すぐ。
丸亀駅のでかさに驚いた。郡山くらいあるぞ。
猪熊さんは、あらゆる表現法を模索し続けた方らしく、絵によって雰囲気が変わる。
パリを目指していたのに途中のニューヨークに心を奪われ20年滞在したとか、素敵エピソードも。
あっ、これ惜しい!と思う作品が何点かあって、ぶつくさと呟く。
どういじくれば僕の好みになるのかは分からんが、好きな絵のイメージは、はっきりと脳内にあるようだ。
ポストカードを吟味したら、今度はセルフうどん屋「まごころ」でまごつく。
悔しいけれど、よそ者っぽさ全開やん。うどんを温める湯があったり、自分でうどんを取ったり、複雑多岐に渡るシステムに目が回る。恐るべし、個人店っぽい店。
飛ぶ鳥落とす勢いで乱立するチェーン店「丸亀製麺」は、超初心者向けだから、受け入れられて浸透しているのだな。
僕はぶっかけと共に完全なる敗北感を味わった。
でもね、そういうの、嫌いじゃない。むしろ、好き。
恥はかいてなんぼ。
しっかし、お客さんは子供からおっさんまでみんな手慣れている。
うどん文化は本物だ。
「ふくや」のうどん以上には到達せず。
うどん後、日本一の石垣(高さ60メートル)と、日本一小さい天守閣(三階建ての家)の丸亀城へ。
途中には、七尾旅人ではあるまいが、シャッター商店街。昭和レトロというか、しなびて古びた地方の現実、か。閉塞感。うーむ。イメージよりずっと寂しいところだ。
突然背後から、「旅行かい?」とサングラスの強面に声を掛けられた。
全身黒ずくめの男の名は、きんちゃん。
仕事で東京にいたときは、新宿のディスコで遊んでいたこともあるらしく、あれこれ世間話。
きんちゃん曰く、
「事情があって帰ってきたけれど、帰りたい人なんかいないよ。香川は災害とかがないから、助け合う精神がない。自分さえよければという気質。保守的、排他的だがプライドは高い。‥同じ四国でも高知は全然違う。行って欲しい。あっちは台風とかいろいろあるからか、とにかく人が気持ち良いんだ。まあ最近の若い人はまた違うだろうけど、環境的要因は大きいよ。まあみんながみんなではないから、そのへんは勘違いしないでよ。‥」
きんちゃんの目から見た香川の一側面。
見た目に似合わずlineを使いこなすらしいきんちゃんの撮影を終え、その場を離れようとすると何故だかティーバックと、ジョンソンエンドジョンソンの綿棒をくれた。
妙な交易を思い返し、ニタニタしながら、丸亀城へ。
石垣を愛でながら歩く。あそこはどこにつながるのだろう。確かめている内に戻らされたり、さすがは城だ。迷い込んでいるのは僕くらいか。マチュピチュに来た気分。先々週も「豊稔池」でマチュピチュを感じた。
小説家のようちゃんも、伊吹島でマチュピチュを感じたらしく、香川はマチュピチュへ通ずる扉が多いように思う。
団体客もちらほらと。
てっぺんからは瀬戸大橋や讃岐富士。富士といってもかなり低そう。香川は高い山が少ない。
にしても、石垣の立派さとのギャップがいいね。丸亀城。
帰りにマルナカで買い出しをしていたら、現場リーダーと彼女に遭遇。
身体は休まらないが、人間だもの、遊びがなければ発狂してしまう。
‥え?一年中遊んでいるだろって?
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