やってみると、「これは」と思えるものは少ない。でも、ないことはない。
ああ、もうこんな時間だ。
リノベ手伝い大臣として一日働いた、二週間限定「青山ゼロセンター」にて、初めてのイベントが今夜行われる。
アーティストはこの前、渋谷公会堂で見た七尾旅人だ。
一般民家なので抽選で60名の選ばれし勇者しか生で見ることはできない。
そんなこと露とも知らず、知ったところで、行けないはずがないことは分かっていた。
ほらね、やっぱり。引きの強い友人に感謝。
中央に電気カーペットが準備されたゼロセンターに、うつ期に突入した総理・坂口恭平が静かにいた。
その姿勢だけで既に本物だ。
FREE LIVEは19:30から始まった。七尾旅人は体調不良。
半径二メートル圏内に、本人がいる。
この前聴いた唄も、まるで別物。
僕はこの距離が好きだ。手の届く範囲、顔の見えるところ。
いくら咳込んでも、唄いだすと咳がとまる。
総理と同じく、この人も本物だ。
弱っていて、普段のパフォーマンスができなくても、それでも、晒す。強がらずに、ありのままを、手加減もせずに、唄う。
「世の中には、明るく強い歌が蔓延している。音楽ってのは、そんなにいいものなんかじゃない」
「本物のアーティストは本当に少ない。うつだから誉めるわけじゃなく、恭平くんは数少ない一人だよ。今日来たのも恭平くんだから。」
『戦闘機』、『階段』、『わたぼうし』、『赤とんぼ』‥
‥どこからだろう。tripしたのは。
優しい音の中、ぐわんぐわんぐわわん。
まるでゆりかご、夢のようで、君のようで。
懐かしくて、あやふやで曖昧なのに確かな感触。脱力したこの身をゆだねる。
目を閉じる。頭が揺れる。ここはどこだろう。
この国では年間自殺者三万人、行方不明者や変死も併せたら十万人ほどが死んでいる。日常は、実は過酷な戦争だ。
「‥死にたくなるよね。」と、旅人が苦しげに投げかけてきた。
この頃の僕は安定しているはずなのに、身体は、心は、大きく「うん。」と頷いた。
相変わらず、この世界は窮屈らしい。
「この中で死にたいのは俺と坂口くんだけじゃないか。」
そう旅人は言っていたけれど、そんなことはない。
僕も、友人も、そのまた隣の見ず知らずの彼も、前のおねーさんもきっと‥
「きちがいだと言われても、思いっきり愛を伝えたいよね。」
(一字一句まで正確ではありません)
坂口恭平は、愛の人。七尾旅人も愛の人。
勘違いされやすいんだろうな。現に今日まで少し勘違いをしていた。
始まったばかりの2013だけれど、今年一番のLIVEになると思う。
にしても、
ただ、生きることは、どうしてこうもツラいのか。
でもまだ僕はツラいと言えるだけいいのかもしれない。弱さを晒す覚悟はあるし、晒している。
晒す場を拡大するべきなんだ。
帰りがけ、狭いモバイルハウスにおっさんがふたり。
余韻に浸りながら、眠りにつきますか。眠れるのだろうか。
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