氷濤マン2017、本日より本格始動。
2016年2月26日「新宿駅最後の小さなお店ベルク」井野朋也著(ちくま文庫)読了。
必死になってカフェを回した怒濤の冬を越え、右も左も分からないなりに(湖畔で五年お客さまをもてなしてはきたけれど)突入した「飲食」という新たな世界は、同じ接客ではあるけれどさすがに水上とは一線を画すようでおっかなくてたまらなかった。屋根があるとどうも息苦しくて仕方がない。しかし、非常にexcitingな経験であった。一体全体「飲食」というのはどういう雰囲気なのだろう。
春になり、すべてが一段落した頃、身体ではなく言葉として「飲食」という世界を知りたくなったとき、ちょうどこの本に出会った。
その日から、ぼくはベルクに恋をした。
結局、生まれ育った「新宿」の手の内で弄ばれているだけかもしれない、と苦笑。
好きな人には会いに行きたい。
九ヶ月蒸らした恋。蒸らしすぎたコーヒーはいけないが、店への片思いは悪くない。
会えない時間が気持ちをどこまでも高めてくれる。
新宿ベルク、ランチ限定780円のコース料理。「エッセンベルク」。
30種類の食材。
この豆のスープはナンダ。何て言えばいいのか分からない、今まで飲んだことのないスープ。これが迫川副店長曰くの「ゆらぎ」なのかなあ。
ベルク本で何度も味を想像したけれど、イマイチ鮮明な味が見つからなかった「ポークアスピック」(写真中央)。これもまた、絶妙すぎる。
味覚がこれほど脳みそに刺激を与えるワンプレートというのもそうない。
食べるは宇宙。
「濃い=美味しい」が世の中まかり通っている風がある昨今にあって、すべてにおいて『寸止め』な味がどれもこれにも決まっていた。
一日1500人が来る店で、この味を決めるか。今のぼくには無理だ。きっと、立ち止まれない。不安で。イってしまう。イキすぎてしまうに決まっている。
覚悟。潔さ。これがベルクか。
新宿、すっっげー!!さすが!!リスペクト!!!!
ぼくの生まれ育った街には、たいした山も湖も川もないけれど、ベルクがあるぞ。どどーん。
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