灰色の空、鉛色の水。ぼくは道北の大河をぼんやりと流れていた。
太陽も色彩もいらない。自分が在る。ただ、それだけでいい。
愛艇に荷物を満載して、白黒の世界で、ひとり、カヌーを漕ぐ。
かつて夢中になった本の世界が目の前いっぱいに拡がっていた。
初めて「カヌー」という言葉を本から頂戴した頃のぼくには経験も技量もなかった。自分にはできっこない夢の世界の出来事だと思い、ただただ自由の象徴に憧れ続けていた。
「念ずれば花通ず。」これ、今はドイツのしばけんが好きな言葉らしい。
ようやく俺もここまで来たのだよなあなんて、一丁前に感慨にふける。
雨よ降れと願っていたら降ってきた。漕ぎたいのはやまやまだが、これはマズイ。やむを得ず停滞せねば。
ぼくは大地のために雨を願ったのではなく、自分のために―誰にも何にも邪魔されずに本が読めたかっただけ。
都合よく雨が降ってくれたので仕方なくテント内にこもってサーマレストのエアマットに寝そべりながらぼくのホームである活字の海へ戻っていく。
何日かけたのか分からないけれど、ようやく水旅の終わりの日本海にあっけなく出て、ふと立ち止まってしまった。
ここからどうやって帰ろう。カヌーをどうやって手塩まで持ってきたんだ?まさかカブ?ま、まさかね~。naokiさんに落としてもらったんだっけ?ヒッチハイクでとりあえず自分だけ帰る?あ、手塩には美しい漕ぎっぷりのりょーくんがいるなあ。音威子府なら‥
あれこれ作戦会議をしているうちに夢と現の境界を越えたらしく、ぼくはこっちの世界へ引き戻された。二つの世界の時差は1時間15分。夢の方が若干早く進むらしい。‥やっちまった!目覚ましをかける前に寝落ちしていたらしい。
僕はツアー準備に遅刻してしまった。すまんPちゃん。
午前。PちゃんはSotocafe。
naokiさんとファミる。
(ファミリーカヌーツアー参戦の略。)
今日もどんより。こういう日が続きすぎてこれが普通になってきた。
道産子・道産子ぶりっこガイド陣は暑さに弱いのでむしろ疲れなくていいよね~なんて。
太陽があろうがなかろうが雲が厚かろうが明日がどっちか見失おうが君に振り向いてもらえなかろうが、‥この川には平等に漕ぎ手の心に染みわたる天性の美しさが備わっている。
川の上に出てがっかりする人を僕は今まで見たことがない。
夏の千歳川はマジに最強なのである。
「マジ」とか、キャラじゃないわよね。失礼。
紅組・白組のみならず途中からピンク組も現れ、ハチャメチャな運動会。
水の上での化学反応。面白い!
ファミリーカヌー、こういうことか。面白い。
昼飯がなかったので、「水の謌」(みずのうた)のハンバーガーセット。
‥ボリューミー。うまい!
チーズバーガー、テリヤキ風味。
ポテトとコールスロー、飲み物セットで750円也。
エゾシカバーガーとかもあるよ~。
右。通称「ダースベイダーデッキ」。
機械的な見た目がどうもなあ、と思っていたけれど‥
ツアー中、乗り降りするときに固定するとき、少し動かすとき、
休憩のために上陸して浜に持ち上げるとき、‥
掴みやすくて力も入り、意外や意外、かなり便利であることが判明。
何事も食わず嫌いはいけないね。
とりあえず、やってみよう。
本当に来てたのかと思っちゃいましたよ(笑)。
返信削除23~24日にかけてそちらに行きますぞよ。
じょうこうさま
返信削除お疲れ様です。むふ。ぼくの分身は何度もそちらにお邪魔しております。笑
お、家族キャンプですか~?!お会いできるのを楽しみにしております。