四万十川に着いた日。この川には今はまだ縁遠いと感じた。
招かれざる客、か。ならば、ここまで来て、漕がないというのはどうだ。コペルニクス的転換。
「漕ぐ」ではなく「漕がない」?面白い、採用。
実のところ、四万十川を漕いでしまったら、失うものが大きすぎる、まだ焦らせる、膨らませられる。
そうも考えながらここまで北。いや、西。
だから、キャンプして次の日には高知市内の面白い人に会いに行こうと思った。
呼ばれていない場所に長居できるほど、図々しくはない。
後ろ髪引かれつつちんたら撤収をして走り出すと程なく、救世主が現れた。
平手のあとに握手されたら、平手のおかげで握手の喜びが跳ね上がる。
下を極めれば天まで届く。
四万十に来て気づけば五日。
ようやっと、漕がせてもらいました。
「江川崎」カヌー館のテニスコートあたりの駐車場利用〜「口屋内」の壊れた沈下橋間をのんびり行くことにした。
追い風に乗って、軽快に進む。風も味方だ。
徐々に、風沈可能な突風が吹き出す。
岩間の沈下橋(去年ドラマの舞台になっていたらしく、記念撮影スポットになっているらしい)付近で待機。
ふっふっふ。
「風は川ではないのだ。いつか止む」とはアリュートの教え。
(新谷暁生さん本より)
が、
待てど暮らせど 風やまず
お粗末様です。
この風はやまない。やまない気しかしない。予報は風力4、5、6。
予報を裏切る予想を立てていた僕。そうは問屋が何とやら、である。
いくら久しぶりだからといっても、風沈はしない。トレーニングがてら、という思いもあるが、今日はただ、のんびり味わいたかった。
それができないなら、いいや。
引き際が肝心。どうせまた来るんだ。
あっさり撤退を決定。
僕は戦うことの無意味さを水の上で学んできた。地球に適うはずがないから、最初から不戦敗の白旗をあげて、おっかなびっくり遊ばせてもらう。
陸上でも同じだと思う。
「カンタ!ティモール」を引きずっている。
四万十は、上げたり下げたり、小悪魔体質らしい。
予定より上流で上がったため、スタート地点の車までどうするか。
どこでもいつでも人様に迷惑かけてばかりの僕は、おんぶにだっこのヒッチハイクは避けている。
岩間の沈下橋〜カヌー館、7キロ。一時間半か。なんだ、歩こう。
441号線は、見通しが悪く大型車に抜かれるときは恐怖なので歩くにオススメはしません。
レンタル自転車もちょこちょこ見る。
数日前に救世主が、新調したというクラシカルなザックを見せてきたので
『山もやるんですか?』と聞いた。
「歩きたくないからカヌー乗ってるんだよ。」
僕は一瞬目を点にしてから、思いっきり笑った。
「分かりやすくていいろ?」
救世主は、笑った。
ああ、僕は、カヌーで漕いだ分をしっかり歩いてしまっている。
でも僕は平地を歩くのは好きだから、まあいいのか。
途中、目黒川との合流点にある「いわき食堂」で日替わり定食。
戻ってからは、草むしり。
湯を温めるのに、薪はどの程度必要か。
知らない方が不自然なことを僕はここで今さら学ばせてもらっている。
騒がしいテレビより、火を見ている方がよっぽど楽しく、落ち着く。
いつか、僕の家ができるなら、薪ストーブを置いて、風車を回そう。大切にできるくらいの多すぎない土をいじって、誰でもいつでも快適に泊まれるようにしよう。
「人に優しくされたとき 自分の小ささを知りました」
(モンパチ)
僕も大きくなりたい。
193センチとまではいかなくとも。
手ぬぐい王子さん!!
返信削除お疲れ様です
農業体験の時とは違う方向から、四国を楽しんでる様子が伝わってきます。
naokiファミリーも四国旅行を満喫してたみたいですが、どこかで会ったのですか?
それとも、ニアミスですか?
これからも、四国で色んな人との出会いや体験を楽しんでください
永松
オハヨ~
返信削除元気そうだね
遂に四万十デビューですか 羨ましいかぎりです
今日の一言
人間のためでも
誰のためでもなく
それ自身の存在のために
自然が息づいている
星野道夫(NANOOK)
では、お気を付けて
>永松さん
返信削除お久しぶりです。コメントありがとうございます!
naokiさんたちとはニアミスです。残念。
そろそろ四国は切り上げないといけないのですが、ここは居心地がよすぎて困ってしまいます。
>北国の極悪オヤジさん
返信削除コメントありがとうございます!
やっと元気が湧いてきました。ここまではものすごく危うかったです。でもこの危うさはもうしばらくしたら手離さなければ。バトンタッチで次の世代にわたしていくものですよね。そう思うと、ここまで不安定な道中がとてもいとおしく思えます。まだしばらくは享受しmすが。
誰のためでもないのにそこから僕らは有り余るほどをもらっているのですね。謙虚であろう。