『複合汚染』
有吉佐和子
新潮社
昭和54年(1979年)5月25日発行
かつての大ベストセラー。
時代的にも日本版レイチェル・カーソンの『沈黙の春』といってよいのかな。
小説なのか?ノンフィクションなのか?ミュージカルのようでもある。
レッテル貼りたがりな方には読みにくいかも。
ぼくには非常に面白かった。
この一冊の本を受けて、高知では(他の地域もだと思われる)農業のあり方を転換した農家さんがたくさんいる。
一冊の本がムーブメントを起こす。筆力たるや凄まじい。
「土といのち」
何フレーズかご紹介。
・質と、量と、使い方を誤れば、どんなものでもいけなくなる。(一切使うな!と説くわけではない。)
・火薬と肥料、毒ガスと農薬‥硝石と、水銀。
・化学と生産技術の飛躍的な発展は、いつも戦争によって生れ、そして戦争が終わっても、一度増大した生産力を減少させる企業はない。火薬の合成技術と生産が、平和な農村に化学肥料となって送りこまれ、毒ガスが殺虫剤その他の農薬と名を変えて米にも野菜にもふりまかれたように、ABSが石けんにとってかわり、そして水と土を汚染している。
p256
・食物連鎖の一つ一つの鎖ごとに「生体濃縮」が行われる。鶏がそうだ。牛もそうだ。豚もそうだ。そしてすべての食物連鎖のターミナル(終着駅)は人間の口なのである。
色褪せない。
2011年3.11(この本の中でもさらっとだが原発にも触れてはいる)、有吉さんが生きていたなら、どう動いたろう。
この頃からはて、時代は、この国は?
うーむ。有吉ファンになってしまった。
おかたそうだが軽快。
スローガンは「Pollution with solution」とのこと。「解決策を持たずに反対を叫ぶのは、感情的対立を嶮(けわ)しくするだけ」ってことらしい。
偏りマンとしては大いに見習いたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿