千歳川でツアーをしたいなあと、誰にいうでもなく心の内でぼんやりと夢を見始めた三年前。
それまでは、ひとりでひたすら、暇さえあれば家から歩いて三十秒のこの川で遊んでいた。
だんだんと、一人占めしているだけでは物足りなさや勿体なさを感じるようになっていった。
美しいものは大切な人に見せてあげたい。
実験するかのように、三年前の秋、はまだくんをこの川に誘った。
(セルフタイマーも釣り吉には一切関係なかった。)
秋の夕方に漕ぎ始めた浅はかなぼくは、迫る夜に飲み込まれないようにとやむなくゴールをここにした。
というわけで、今年は三年前のゴールをスタートとした。お散歩のように気軽な時間が流れた。
「漕ぐのうまくなったでしょ?」
きっと、三年前の心もとない操船技術と比べていたのだろう。
カヌーのことをさして知らない男でも、当時の未熟な腕前はバレていたのだなあ。さぞかし、不安定でおっかなかったであろうことは容易に想像がつく。
遠いようで実はとても近い。16フィートの距離感って、本当に絶妙。三年前は15フィートだったしなあ。
ガイドとしての核は、技術の前に、溢れる思い。伝えたいものがあるかどうか。伝えたいがために腕を磨いていく。うまくなりたいのは、伝えたいものがあるからで、伝えたい人が頭にスッと浮かぶからで。
カヌー一筋とは言えない、よこしまガイドとして思うガイド観。
ある日、意を決して、なおきさんに千歳川でツアーをやりたいと気持ちを告げた。
その思いはかなり高ぶっていて、返事がどうでもやってやれと考えていた。
すると、その男は、ニタリと笑い、既にそのツアーを実行するための道具の入手に着手していた。
やられた。いつも、ぼくがやりたいことの二歩先にいる。
【かのあ】のやりたいことや目指したいところは、面白いくらいにぼく個人の興味関心の向かう先と一致し続けている。
いつも、新しいツアーは自分を育ててくれる。
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