何年生きても、おっかなさはなくならない。
生きれば生きるほど、むしろ、おっかなさは増していく。
しかし、それでも、ぼくはぼくでしかいられない。
ぼくをやりきれる人は世界にひとり。
あるがままを、許しあえるまさかの奇跡をあり得ないと馬鹿にしながらも諦めきれずにどこかに探すでもなく微かに期待している。
なんて阿呆なんだろう。積み重ねた過去はたいした説得力を持たないのか。心の向きはいくつになろうと変わらない。
この時代に生まれ、違う場所に暮らし、その時々、愛しい人たちを一生懸命にヘタクソに愛する。
苦しいとき、苦しげに。
笑うとき、幸せな。
南のロックが響いてくる。ずんずかずんずん泣きながら笑ってる顔が見える。いつも苦しげなノイズ。
愛していると伝えるがためだけの音。
どんな手を使ってでも、生命に固執する。
そこまでして、生きるのか。そこまでして、何を掴もうとしているのか。
そこまでして、ただ、願うのはひとつっきり。
どこかで誰かが泣いていたなら、こぼれる涙を掬うことしかできないけれど。ただただ、そばにいることしかできないけれど。
もしもぼくが泣きたいときには、なんにも言わずにただただそばにいてほしい。
北と南はやはりよく似ている。
生きててよかったと強く、深く、感じさせてくれる島。
日本の端は世界のはじまり。
はじまりの地で暮らす、何てことないとっておきの一日がまた、はじまるよ。
生きててよかった。そう、感じまくれる幸福は誰かに感じさせるために与えられたんだろう。
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