forget me not。わすれな草。尾崎豊。
すっかり忘れていた。
only one cup of coffee shop.
数年前、自分の好きなコーヒーひとつしかない、頑固爺…頑固親父が営むような、メニューのないコーヒー屋をやってみたいと思っていたこと。
大切なことほど、人は忘れる。自分のことほど、忘れる。
そっか、やりたいことだったんだ。
やりたいことをやると、次から次へとさらなるやりたいことが見つかるね。
昨日、とあるbusy manに「コーヒー、おいしいよ」と誉められて、初めてのおかわりを注文された。
お世辞でも何でも、素直に嬉しい。
誰にイマイチと言われても、ぼくにはこのコーヒーが最高。
いろんなコーヒーがあってそれぞれにおいしい、けれど。
けれど、けれど、けれど‥
世界中の水を見なくても、ぼくの世界一はここにある、ように。
世界中のコーヒーを飲まないでも、ぼくの世界一はここにある。
大事なのは、きれいな水も茶色い水も一緒。
同じものを見て、同じものを飲んで、同じように感じる人、言葉でなく心で会話がしたい。
美しいものを見て、美しいと、ため息ひとつで、シンクロしたい。
いつも、もどかしい。カルチャーショックを感じてばかりだから。
ぼくはおかしいんじゃないかと、いつも思う。おかしいのだ。どこにいようと、いくつになってもそれは変わらない。
本当はみんなおかしいはずなのだ。まともなふりがうまいか、まともなふりをしたいか、それだけなのだ。
だから、先にぼくが恥ずかしい自分を出していれば、安心してみんなおかしい部分を解放できるのではないかと。
感性の共有はしたい。けれど、強要はしない、したくない。できないし、違う。
物体のない心は誰にも侵されてはならない領域だ。
どう感じるかは自由。
みんな違うから面白い。どの感じ方が偉いわけでもない。
各々、気持ちよければいい。
気持ちよくなることにもっと誰もが素直で貪欲になれる、風通しのよい世の中になればいいとぼくは思いながら、今日もコーヒーを淹れて、カヌーを漕いだ。
開店前、朝冬支笏にて。
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