いつか、旅の終わりを示してくれた四万十の救世主は、塞ぎこむ愚か者に腱鞘炎の治し方を教えてくれた。
あのときの感謝を伝え忘れた。
凄腕カヌーガイドは石巻で会ったことを覚えていないと思ったとぼくに言った。忘れるはずがない。
目が疲れているとの鋭い指摘に力なく笑う。
今夜、東へ向かうようだ。
ほんのつかの間。
生でこの人たちの漕ぎを見れる人がぼくには羨ましくてならない。
ギリギリのところで踏ん張る。
ぼくは動けない。いつも留守番だ。
誰かに強く必要とされることでしか生きる意味を見出だせなかった頃はそれで良かった。
日々のツアーはすべて今、ぼくが負っている。
勿論ほーりーおじさんがいなければ既に倒れている。
長く暗いトンネルの中にいる愚か者を見ていられないのか、なおさんがカヌーネックレスをくれた。
ツアー前、ぼくは見よう見まねでカヌーピアスをひとつつくった。
好きな人にあげよう。
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