今日は休み。ゆっくり七尾旅人の新作「リトルメロディ」にようやくどっぷり浸り、本を読み、服を縫ったりしている。
趣向を変えて、今宵は2009年2月のニート文学を発表!どどーん!
★★★涼んでいただければ是幸い★★★
「なにが残った?」
『‥なんだろ。‥‥なにもないね!なんだったんだろう。』
(落ち込むでも悲しむでもなく、少し自分自身を皮肉った笑みを浮かべながら)
友人との何でもない会話の切れ端が妙な存在感を持つ。たまにある、いつものことだ。
今日も帰り道すがら、脳内でずきゅんわーどを反芻していた。
‥「なにが残った?」
(ボリューム、エコー共に控えめ)
五年近く付き合った彼女とのことが終わった。勝手に好かれ、勝手にフラれた。どうゆうこっちゃ。
今の僕になにが残った?なにか残った?
相手に都合よく振り回され、生気を失っていたアイツに、なにが残った?
僕らに残ったものは?社会的地位の低いニートな僕らの手元には?
夜の小田急線新宿行き各停車内、僕は人のまばらな車内に座ってはいたけれど、そこではないどこかへと誘われていった‥
正式に、強引に、ワケもわからず付き合うことになった京急蒲田駅前。入り口で大ゲンカした最低なディズニーランド。
最後に会ったクリスマスイブの渋谷。初めてのキスはロマンチックのかけらもない糀谷のスーパー。
雨の土手。駅ビルの階段。
行きまくったカラオケで彼女が歌っていた、Britney Spears、浜崎あゆみ。
チャリのニケツ。元旦セールの109店員の輝き。
ロードムービーばりの文化祭バックレ。寝ている彼女にキスをした修学旅行。
彼女がバイトしていたパン屋へ冷やかし。ジャック・ケルアックもおののく、路上で毎度の大ゲンカ。‥
「なにが残った?」
(エコー強め)
‥‥おっと!危ない!今僕は、夢のような友人との3時間スーパーLIVEを終え、家路に向かう小田急線車内にいたんだった。
ちんけなコトバかもしれないけど、代えのきかない【なにか】が残った。
たとえば、多摩川。
誰かにとっては【川のうちの一つでしかない多摩川】は、僕にしてみれば、
【彼女とニケツして川崎まで、夏も冬も雨でも何でも関係なく、寄り道しながら、ケンカしながら、泣いたり怒ったりカエルをひいちゃったり、好きな歌を唄いながら、夢やグチをこぼしながら、カヌーも漕いだ多摩川】なわけで。
それはもう、僕だけの、僕らだけの多摩川なんだ。
多摩川ではないどの景色も、誰が見たって視覚的には同じように映る。
そこに、それぞれの思い入れが加わることで、全く別の景色が広がる。
そういう【なにか】は残った。そういう【なにか】だけが残った。それで十分だと思った。
僕は、幸せ者だ。
クリスマスイブから二ヶ月が経った今、彼女が幸せであればいいと強がりでなく思えるようになりつつある。会わないかわりに、彼女が好きだった歌を聴く。
今はまだ、彼女の残り香に包まれていたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿